株式や投資信託の運用益が非課税になるお得なNISA(ニーサ)制度、少額投資非課税制度をご存じですか?
つみたてNISAは最長20年運用できるのに対し、NISAでの運用は最長5年間と短い期間でしか運用することができません。
そこで、今回はNISA口座で買い付けた商品を期間内の5年間ではなく最大10年間保有することができる制度「ロールオーバー」について解説していきたいと思います。
この記事では、
- どんな方にロールオーバーが向いているのか?
- NISAのロールオーバーの非課税期間はどのくらいか?
- NISA口座で5年間運用した後の3つの選択肢
について詳しく解説していきますので、最後まで読んでいただけると幸いです。
ロールオーバーが使えるのはNISA口座だけ
まず、証券会社の口座の種類は大きく分けて3つあり「一般口座」「特定口座」「NISA口座」に分かれます。
その中でも、ロールオーバーの制度を使えるのは「NISA口座」だけになります。
そもそも、一般口座や特定口座は商品の利益に対して非課税で運用することはできませんが、無期限で運用することができるため、基本的に出口戦略をする必要がありません。
しかし、NISA口座で運用できる期間は5年間と限られているため、出口戦略すなわちどのタイミングでどのくらい売却するのかが重要になってきます。
- 一般口座とは、運用で利益が出た場合税金を納付するために確定申告などの手続きをすべて自分で行う口座を指す
- 個別株や投資信託で利益が発生したときは、その利益に対して20%が課税される
- 特定口座は、確定申告簡易化もしくは確定申告の必要あり
- 特定口座はさらに「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類がある
- 「源泉徴収あり」を選択すると、証券会社が自分の代わりに投資で得た利益分から所得税と住民税を計算し税金を納めてくれるので、確定申告する必要がないので投資の初心者や確定申告が面倒な人はおすすめ
- 一般口座や特定口座であれば利益分に対して20%課税されるのですが、NISA口座は0%で運用することができる
- NISA口座で運用すると非課税なので、必然的に確定申告の必要はなし
- 個別株や投資信託を運用する場合は、年間最大120万円までしか買い付けることができず、上限が決まっている
- 運用できる期間は最大5年間

NISAのロールオーバーとは?
通常NISA口座の非課税期間は5年間です。
その5年間の非課税期間が満了した商品は、「売却する」「課税口座に移す」「ロールオーバーで翌年の非課税投資枠に移す」の3択しかありません。
ロールオーバーとは、非課税に移すことにより更に5年間、最大10年間株や投資信託を保有できる仕組みです。
【SBI証券より引用】
上の図を見ると、2015年から始めた場合は2019年で非課税期間が終了になりますが、このロールオーバーを利用すれば2024年まで延長され最大10年間非課税で保有できることがわかります。
NISA口座での非課税期間終了後は、
- 「売却する」
- 「課税口座に移す」
- 「ロールオーバーで翌年の非課税投資枠に移す」
以上の三択から選ぶことになります。
課税口座に移してから積み立てた商品を売却してしまうと、通常の20%が課税されてしまいます。
また、途中までは順調に成長していた商品が売却のタイミングで暴落する恐れもあるので、そんなときはロールオーバーを有効活用して株や投資信託が成長したタイミングで売却する方法が最適です。
どんな方にロールオーバーがオススメか?
NISA口座で5年間の非課税期間が終了したら、以下の選択肢
- 「売却する」
- 「課税口座に移す」
- 「ロールオーバーで翌年の非課税投資枠に移す」
から選ぶということは分かったと思います。
ですが、どれを選んでいいかわからない!選ぶ基準って何で決めればいいの?なんて人も多いと思います。
そこで次は、3つの選択肢からどれを選べばいいのかと、どんな方にこのロールオーバーが向いているかを解説していきます。
結論からいうとロールオーバーが向いている人は、「高配当ETFをNISA口座で買い付けしている方」「非課税期間終了後5年間でさらに保有している商品が成長できると見込みがある方」です。
理由については後ほど説明しますが、まずは「売却する」「課税口座に移す」「ロールオーバーで翌年の非課税投資枠に移す」のそれぞれの特徴とどんな方に向いているかについて解説します。
「売却する」を選んだ方がいい場合は、商品の成長がこれ以上見込めない、または購入した商品が値上がりし利益をを確定したい場合が当てはまります。株や投資信託は長期で保有することによって資産を増やしていくができるため、非課税期間が終了したからと言って焦って売却することはあまりおすすめできません。
また、NISA口座で運用した商品を売却することにより新たに、つみたてNISAの枠で商品を積み立て購入することができます。
原則として、NISA口座とつみたてNISA口座は同時に持つことができないので、NISA口座で5年間の運用期間が終了した後につみたてNISAで20年間運用することだってできますよ!
- 運用益に対し非課税で売却できる
- 商品の成長が見込めない場合や商品が値上がりし利益を確定したい場合
- 売却後つみたてNISAを始めることが可能

次に「課税口座」を選んだ方がいい場合もあります。
現在保有している商品が長期に渡って成長しそうだと判断したときです。ロールオーバーは追加で5年間延長できるのに対し、課税口座で運用できる期間には制限がなく何年でも保有することができるので、20%の税金が掛かったとしても10年20年単位で確実に伸びていく商品であれば選ぶ価値は十分にあります。
また、課税口座を選んだ場合も売却したときと同じく、新たにつみたてNISA口座で積み立て購入ができます。
- 課税口座に移してから売却した場合、運用益に対し20%課税される
- 長期に渡って運用したときに、確実に伸びていく商品を保有しているとき
- 売却後つみたてNISAを始めることが可能
次は「ロールオーバー」を選んだ方がいい場合です。
NISA口座は運用できる期間が決まっているため、必然的にいつ売却するかが非常に重要になってきます。
5年間の間であればいつでも売却できるわけですが、売却したとしても年間の投資可能額の120万円に変わりはありません。
NISA口座を利用するなら5年間という期間を有効活用しない手はないです。
しかし、せっかく順調に成長してきた商品が5年間の非課税期間終了のタイミングで暴落してしまったらどうでしょう?非課税期間が終了するからという理由で売却してしまうのはあまりにももったいないです。
そこで、このロールオーバーの出番です!
ロールオーバーを利用すれば5年間延長で最大10年間は非課税で運用できるわけですから、暴落時に売却してしまうリスクはありません。
ちなみに、5年間の延長ですが5年間の期間であればいつでも非課税で売却できるので、5年以内に商品が値上がりする見込みや暴落時の売却のタイミングをずらすこともできます。
そのため、非課税期間終了後5年間でさらに保有している商品が成長できると見込みがある方にも有効と言えますね。
また、ロールオーバーを選んだ方がいい例として高配当ETFをNISA口座で買い付けしている場合も有効です。
高配当ETFを売却もしくは課税口座に移してしまうと、高利回りが魅力的な配当金や分配金を非課税で受け取れる期間が短くなってしまうため、やはりロールオーバーを選ぶことをおすすめします。
ロールオーバーの注意点としては、非課税で保有できる期間は延長されますが、新たに年間120万円の投資枠が増えるわけではありません。
さらにNISA口座でロールオーバーを選択している期間は新たにつみたてNISAを始めることもできないので、利用するときは今後の投資方法や保有している商品の運用方法を改めて確認してみてください。

- 5年間の非課税期間が終了するタイミングで資産価値が下がってしまったときに有効
- 高配当ETFの配当金と分配金をより長く非課税で受け取れる
- つみたてNISAと併用ができない
- 新たに投資可能枠が増えるわけではない
さいごに
今回は、NISA口座でのロールオーバーについて説明しました。
ロールオーバーがどんな方に向いているかは、
- 高配当ETFをNISA口座で買い付けしている方
- 非課税期間終了後5年間でさらに保有している商品が成長できると見込みがある方
以上が当てはまる方はNISAロールオーバーをおすすめします。
NISAの非課税期間は5年間と比較的短いですが、ロールオーバーを利用することにより最長で10年間非課税で運用することができるので、中期的・長期的に運用したい方には非常におすすめです。
ちなみに僕もこのロールオーバーを利用し運用し非課税期間が終了した後は、つみたてNISAを始めようと思っています。
ロールオーバーの特徴を理解して、効率的に資産を増やしていきましょうね!
最後まで読んでいただきありがとうございます。